Waveform Signal Processing Laboratory
Faculty of Applied Science and Engineering, Ibaraki University
テラヘルツ(THz)波は「人類最後の未開拓電磁波帯域」と言われ、最近の数十年間でようやく利用可能になりました。今後、BEYOND 5Gの高速無線通信や高分解能のセンシング応用が期待されています。前職の大阪大学では、下図で示すTHz三次元イメージングシステムを光学部品で実現した。THz帯信号の透過性とミリメートル級の分解能を生かして、プラスチックパッケージを透過する上、サンプルの断層撮影も獲得できる。しかし、このような実験システムは非常に高価であり、実際の応用には向いていません。
その主な原因は、この周波数帯域では従来の電気電子デバイスだけでは発振や伝搬が非常に難しいことにあります(詳細については、こちらの資料をご参照ください)。そのため、光技術、材料技術、半導体技術など、他分野の技術と融合し、新たなTHzデバイスやシステムを実用化に向けて開発することが現在の主要テーマとなっています。具体的には、共鳴トンネルダイオード(RTD)を用いた低コスト・小型センシングシステムや、光技術を用いた高機能三次元イメージングシステムの2つの方向に分かれています。
共鳴トンネルダイオード(RTD, Resonant Tunneling Diode)は、量子力学的なトンネル効果を利用した半導体デバイスです。RTDはその独特の特性により、高速デジタル回路や高周波発振器などの応用において注目されています。従来の研究では主にテラヘルツ波帯の無線通信に使用されてきましたが、右図に示す送受信区間を使うことで、1個のデバイスのみで上図のTHzイメージングシステムを代用することが可能になります(本研究の詳細はこちらをご参照ください)。現在、以下のテーマでさらなる研究を展開しています。
RTDイメージングセンサのアレイ化
RTD信号による合成開口レーダ処理および生体信号測定
RTD素子による無線通信リンク
RTD信号による超分解能イメージング
高周波のTHz帯信号を生成、伝搬するには、従来の電子デバイの代わりに、光技術を用いたTHz生成、集積技術はTHz無線通信領域で注目されている。センシング応用でも、広帯域(>100GHz)、高速、低ノイズなどのメリットが示している。
右図に示すUTC-PD(Uni-Traveling Carrier Photodiode、単一移動キャリアフォトダイオード)は、二つの異なる周波数を持つ光の差周波を発振して数百GHz帯域のTHz信号を生成することができます。また、下図に示すシリコン導波路はTHz信号をシリコンに閉じ込めることで、複雑な光学配置を一枚の二次元シリコンウェーハで代用し、挟んだコインの三次元イメージングを実現しました。
こういう光技術の融合で、小型かつ高機能の三次元THzイメージングシステムを目指している(本研究の詳細はこちらで参考できます)。現在以下のテーマで一層研究を展開している:
高速周波数掃引ができるTHz光源開発
光技術を用いたTHzリモートセンシングシステム
三次元イメージング用のシリコンミキサーの開発
THzファイバ・インターフェースの開発